セレモニアル・グレードとは

質の高い抹茶を購入しようとするとき、販売価格の幅が大きく、どれを選べば良いのか迷ってしまうことがあります。価格やグレードはメーカー独自で線引きするものも多く、その定義や品質は様々です。日本のみならず海外市場では、英語で「茶道」を意味する “Tea Ceremony(ティーセレモニー)” に擬えて、セレモニアル・グレードと冠した抹茶も数多くありますが、明確な業界基準はありません。ここでは、「茶道」や「茶の湯」について知識を深めることで、セレモニアル・グレードとは何かについて考察を深めて行きたいと思います。

目次
茶道について
セレモニアル・グレードの基準
毎日の生活に茶の心を

1. 茶道について

日本の茶道は神道や仏教とくに禅宗の精神と深い関わりがあります。「侘寂」を重んじ、和敬静寂の心で、亭主が客人にお茶を点て、もてなし、客人はお茶のもてなしを受けます。侘寂とは「質素なものの中に、奥深さや豊かさなど「趣」を感じる心であり、日本の美意識」です。茶道には、茶の点て方、おもてなしの心、建築、庭園、華道、書道など様々な芸術的な要素が含まれています。

茶道は、客が茶室に入る前から始まります。庭を通る小道、慎ましやかな茶室の入り口、注意深く配置された畳、静寂に包まれた茶室、季節に合わせた茶華や茶軸のしつらえ、干菓子や主菓子。亭主は作法に則り、決められた位置と動作で準備をし、茶を点てます。

茶会には、「茶事」、「大寄せ茶会」、「献上茶事」、「口切りの茶事」などの種類がありますが、茶事では、懐石料理、濃茶、薄茶、が振る舞われます。体系化された作法に則り鍛錬によって洗練されたすべての動きには意味があり、茶道はさまざまな日本文化を融合した総合芸術だといわれています。

茶事や茶会など特別な日に点てていただく濃茶や薄茶に使われる抹茶も慎重に選ばれます。濃茶には、抹茶のなかでも甘味があり、うま味が強い高級な茶葉を使うのが一般的です。薄茶には薄茶用として一般的には濃茶で使う抹茶よりも渋みのある抹茶が販売されおり、薄茶に濃茶用の抹茶を使うこともできますが、濃茶に薄茶用の抹茶を使うことはできません。濃茶用にも使用できる上級の抹茶を「濃茶」、薄茶専用の抹茶を「薄茶」と呼ぶ場合もあります。

口切の茶事は、「茶人の正月」とも言われ、11月に家元で行われます。新茶を詰めた茶壷の口を切り、碾茶を取り出し、石臼で挽き、抹茶に仕立て碾きたての茶を味わいます。

  • A tea master holds a “hishaku,” or “bamboo ladle,” above a steaming pot during a tea ceremony.
  • A stone garden path, surrounded by vibrant green foliage, leading to a tea house entryway.

最初に茶の種子と茶の粉末をお湯に入れて泡点てる方法を中国から日本にもたらしたのは、臨済宗の開祖となった栄西でした。鎌倉時代、栄西は布教と共に、寺院で茶の栽培方法を広めました。茶には覚醒作用があり、禅宗の厳しい修行や長時間の瞑想を行う際にとても有効だったのです。また、栄西は源実朝に「喫茶養生記」に献上し、武家社会にも茶文化を広める足掛かりを作りました。室町時代には、茶文化は武士階級や庶民など一般階級にも普及しました。南北朝時代になると、闘茶というお茶の銘柄を当てる賭け事も禁止令が出るほど流行し、中国の茶器を集め、豪華絢爛な茶会を開く大名も現れました。村田珠光は、その華美な茶文化に意を唱え、侘茶を産み出し、安土桃山時代に千利休によって茶の湯が大成します。茶の湯は侘び寂びの哲学と「和敬清寂」、すなわち「調和、敬意、静寂、清浄」という四つの基本原則のもとに発展しました。慎ましさの中に自然と詫びさびを感じさせる清潔な茶室。にじり口と呼ばれる小さな入り口は、身分に関わらず、すべての客が頭をかがめ、手と膝をついて這って入る平等の精神も象徴しています。

僧侶と同様に、武士の間でも茶の湯は広く親しまれ、戦国時代には、戦闘に明け暮れる中でも武士は茶の湯に熱中しました。茶道は戦いに赴く前に抹茶を一服し、持続的なエネルギーを得るだけでなく、心理的に厳しい現実の最中、秩序と規律の中で、心を落ち着かせる儀式でもありました。江戸時代になると諸大名の間にも茶の湯の心得は必要不可欠なものとなり、身分秩序を意識した武家茶道も形作られて行きました。

身分や時代を超えて、茶の湯は和敬静寂の心で一期一会と自然を尊ぶ、礼節と思想とおもてなしの心が詰まった日本の伝統なのです。

2.セレモニアル・グレードの基準

茶の湯・茶道の歴史と伝統を鑑みると、セレモニアル・グレードの抹茶は、客人をもてなすのに相応しい上質な抹茶と考えられます。茶道各流派のお家元御好みの抹茶は、濃茶には色鮮やかで甘みと旨味の豊かな一番茶が多く使われます。茶事の最後に頂くサラサラとした薄茶には、濃茶よりもグレードの下がる、渋味のある特徴の抹茶が使われますが、濃茶用の抹茶を使うこともできます。セレモニアル・グレードの業界標準がないため、上質な抹茶を選ぶためには、茶がどのように生産、加工、保存されるかを確認することが重要です。

Cuzen Matchaでは、オーガニックのシングルオリジン抹茶をご用意しています。シングルオリジン抹茶とは 単一農園で作られた 単一品種の茶葉のことです。1種類のみ単品でご購入いただくこともできますが、たとえば、同じ「おくみどり」という品種でも、霧島(鹿児島)・天竜(静岡)・宇治(京都)の3つの地域のおくみどりをご用意していますので、地域ごとにどんな味わいの差があるのか、飲み比べをしながらお選びいただくことができます。また、同じ霧島(鹿児島)の生産者さんに育てられた抹茶でありながら「あさのか」「つゆひかり」「おくみどり」3つの品種をご用意しているので、品種ごとの香り・水色・旨味・滋味など、それぞれの個性をお楽しみいただき、お好みをお選び頂くこともできま

  • A simple, clean tea room with a “furo,” or portable brazier, and a “mizusashi,” or a “cold water container,” set in a corner, on a tatami mat.
  • A “chashaku,” or “bamboo tea scoop,” set on a traditional stone mill covered in matcha powder.

「茶人の正月」とも言われる口切の茶事で、碾茶を取り出し、石臼で挽き、抹茶に仕立て碾きたての茶を味わうように、茶室の円窓をモチーフにしたCuzen Matchaの抹茶マシンもボタン一つで、碾きたての抹茶を点て、お味わうことができます。新鮮な抹茶は色も鮮やかで、栄養価も高く美味しいのです。

3. 毎日の生活に茶の心を

茶道は、多くの示唆に富み、私たちの人生を心豊かにしてくれます。一瞬に心を込め、人やものを敬い、丁寧に過ごすこと。茶道の精神を日常の中で、人間関係や仕事、生活に活かすことができます。

和敬静寂の心、一期一会の精神、自然との調和。茶室の円窓をモチーフにデザインされたCuzen Matchaの抹茶マシンと有機栽培のオーガニック抹茶リーフで、毎日の生活に茶の心と美味しい抹茶を取り入れてみてはいかがでしょうか。

  • Bird’s eye view of a person enjoying a bright green cup of matcha and a colorful book.
  • Bird’s eye view of a person’s arms, both hands resting comfortably around the cup of matcha.