【開発者インタビュー】抹茶マシンを生み出したエンジニアの挑戦とは

Cuzen Matchaの抹茶マシン誕生の背景には、開発者の様々な想いや、強いこだわりが数多く存在しています。
今回は、抹茶マシンの誕生を支えたエンジニア、榊原直人氏にマシン開発のストーリーを語ってもらいました。

榊原 直人 氏 プロフィール

出身地: 日本、静岡県

現在の居住地: カリフォルニア州メンローパーク

お好みのドリンク: スパークリング抹茶

  • Cuzen CEO Eijiro chats with Naoto in the mechanical engineer's workspace, where the Matcha Maker was designed.

目次

  1. エンジニアとしての長いキャリアの中での新たなチャレンジ
  2. 簡単ではなかった「抹茶マシン誕生」までの道のり
  3. ユーザー体験をデザインの中心に
  4. どのメカニズムが最も重要か

1. エンジニアとしての長いキャリアの中での新たなチャレンジ

「挽きたて抹茶」を世界の誰もが簡単に楽しめる暮らしをかなえたい!

Cuzen Matchaのアイディアを聞いた時、面白い!と思いました。

自分でコーヒーを挽いて飲む人はたくさんいますが、お茶愛好家でも、挽きたての抹茶を家庭で愉しむという人はあまり聞きません。

Cuzen Matchaのアイディアは、とても斬新でした。

私は、他の人がやっていない新しいことに挑戦するのが好きなので、興味深い挑戦だと興味をもちました。それに、世界中にお茶を飲む人はたくさんいるので、このアイディアはうまくいくかもしれないとも思いましたね。

エンジニアとしてのキャリアの中で、粉末材料を扱うことは、私にとって新たな挑戦でした。茶葉を挽いてパウダーにする部分が面白いコンセプトだと惹かれました。

  • A whisking cup prototype sits on a platform, connected to a computer as it is tested in Cuzen mechanical engineer’s workshop.
  • The Matcha Maker mill is tested in the workspace of mechanical engineer Naoto.

昔から「お茶」にはなじみがあった


祖父が茶農家なので、祖父の家の前には茶畑が広がっていました。幼い頃は、お茶の収穫時期になると、祖父の農園を訪れ、お茶摘みをしていました。お茶の中でも、カテキンやカフェインなど、抹茶の科学的・化学的側面に興味がありました。

粉や飲み物に関わる開発は、エンジニアとしての私にとっては未知のものでしたが、馴染みがあり、身近に感じられるお茶を扱いながら、未知のことを知ることができたら楽しいだろうと思いました。

2. 簡単ではなかった「抹茶マシン誕生」までの道のり

米国での経験、これまでの製品開発の経験を活かしつつ、抹茶マシンを設計!

しかし実際には、簡単にはいきませんでした。
抹茶マシンは、碾茶(抹茶リーフ)を微細な粉末にし、その抹茶パウダーを動かし、水に入れて攪拌し、適度に泡立たせる必要があります。

  • Naoto, the man who engineered the Matcha Maker, stands in front of his workstation, face in hand.
  • Mechanical engineer Naoto stands in front of his workstation, looking reflective.

苦労したのは、粉体や液体の運動は、物理で簡単にモデル化できないので、様々なパラメーター(変数)を実験を通じて確認する作業です。

また、10μm以下の細かいものを「美味しいか」「美味しくないか」と味わい評価をするのは非常に難しく、その評価を定量的に把握するのも簡単ではありませんでしたね。

3. ユーザー体験をデザインの中心に

以前、働いていた車椅子会社 WHILLでは、機械エンジニアとして開発に参加していました。その際に大切にしていたことは、まず、多くの車椅子利用者の声を聞くことでした。

車椅子の方を路上で呼び止めたり、病院やリハビリセンターを訪問して話しかけたりしました。しかし、車椅子利用者の層は多岐にわたり、傷害や障害の程度も人それぞれ異なるため、対象となる利用者を把握するのに非常に苦労しました。

その中で、まずは素早く試作品を作り、ユーザーからのフィードバックを集めるということが、とても有意義であることを学びました。

課題がたくさんある時こそ、早く世に出してリアルなユーザーの声をひろうこと、ユーザー体験に重点を置いていくこと、それが重要だと考えています。

  • A whisking cup sits on the Matcha Maker platform with another whisking cup and a digital sensor nearby.
  • A whisking cup prototype sits on a platform, connected to a computer as it is tested in Cuzen mechanical engineer’s workshop.

抹茶マシンの開発は、「家庭で手軽に抹茶をたのしむ」という新しいユーザー体験を市場に届けていく仕事だと意識して進めてきました。

今までにない新しい物だからこそ、まずは形にして、お客様がどう感じるかというフィードバックを正確に把握することが重要だと思っています。

4. どのメカニズムが最も重要か

私は、製品を開発する際、その製品にとって「どのメカニズムが最も重要か」を考えるようにしています。Cuzen Matchaの場合はミル(茶葉を挽く臼部分)が最も重要だと考えています。

ミルを使って抹茶パウダーを作ることは新しい挑戦であり、粉末と液体の取り扱いが非常に難しい。

製品を見て、何が重要なのかを徹底的に考え、そこにエネルギーを注ぐ。

  • 何が顧客を一番幸せにするのか
  • 何が最も難しいのか
  • 何がこの会社を最もユニークにしているのか

抹茶マシンにとって、碾茶を抹茶パウダーにする工程。その性能が、抹茶パウダーの品質に大きな影響を与えます。粉の品質が良いことが、お客様に喜んでいただける重要なポイントだと考えています。

  •  Naoto’s work space features a long white pegboard with brightly-colored tools and gadgets, hanging above rows of drawers and colorful organizing bins.
  • Naoto stands in front of a big desk computer, which displays a zoomed-in view of matcha powder.